第1回WDMS:日本IBM株式会社様 「Weather Means BUSINESS -気象データを活用したビジネストランスフォーメーション事例-」


基調講演②:日本アイ・ビー・エム株式会社様

「Weather Means BUSINESS -気象データを活用したビジネストランスフォーメーション事例-」

2018年6月20日に開催された『第1回Weather Driven Marketing Summit』では、総合気象会社のパイオニアであるハレックス株式会社さま/世界最大規模の気象会社であるザ・ウェザーカンパニーやAIソリューションを保有する日本IBM株式会社さま/クリエイティブな提案を得意とする大手広告代理店である株式会社大広さまの皆様に、今後の気象データの活用について講演をしていただきました。

第1回Weather Driven Marketing Summitの様子について、各講演内容を4回に分けてお届けいきます。2週目は、日本アイ・ビー・エム株式会社 ワトソン&クラウドプラットフォーム事業部 ザ・ウェザーカンパニー担当 営業部長 石丸卓哉氏の講演についてのレポートです。

日本アイ・ビー・エムさまの講演では、世界最大規模を誇るザ・ウェザーカンパニーが世界中で展開する気象データの活用事例を中心に、どのようなビジネスで気象データが役に立っているかご紹介していただきました。

「風が吹けば桶屋が儲かる」という昔のことわざがあります。これは、風が吹けば土ぼこりが立ち、土ぼこりが目に入って目が悪い人が増える。目が悪い人は三味線を買う。三味線に使う猫皮が必要になり、猫が集められる。猫が減るとネズミが増え、ネズミは桶をかじる。桶の需要が増えて、桶屋が儲かる。

様々な俗説がありますが、このことわざの意味は、ある事象により、一見全く関係がないと思われる場所や物事に及ぶことのたとえを表しています。

この言葉自体は江戸時代のことわざであり、現代的にはこじつけに近いとされていますが、この言葉の意味することは、現代でも様々な面で発生しているかもしれません。特に気象データは、幅広い産業や多くの人々に影響を与えているため、気象データを活用することで新たなビジネスの可能性が見えてきます。

それでは、世界中ですでに活用されている事例をご紹介していきます。

ザ・ウェザーカンパニーの気象データは、すでに私たちの身の回りの至る所で活用されています。GoogleやYAHOO!など大手検索サイトの天気情報や大手車メーカーのカーナビなどにも天気情報を提供しています。その他にも多岐に渡る業界へ気象情報の提供を行っていますが、特に需要の多い3業種とその活用事例についてご紹介していきます。気象情報の活用が多い業種として、「航空業界」「電力業界」「保険業界」があるそうです。

 事例1:航空業界-フライトソリューション-

気象データの活用が多い業界としてもイメージがつきやすい航空業界へは、フライトの安全をより強いものにするためパイロット向けソリューションを提供しています。

TWCの気象予測とフライトの過去データを掛け合わせることにより、乱気流が発生しているエリアや暴風雨・雷・雹が発生しているエリアを察知し、備えることができるようになります。その結果、乗務員障害・保全検査・フライトキャンセルの削減を実現しています。

 事例2:電力業界-停電予測モデルの構築-

従来の停電対応は、「停電が起きてから対応」するものでした。しかし、気象データと停電被害の過去データを活用し、停電予測モデルを構築することで、最大72時間前に停電範囲(場所と時刻)を予測しています。

停電予測をすることで、事前に備えることができ、復旧時間の短縮と作業コストの大幅な削減を実現しています。

事例3:保険業界の場合-リテンション及び損害削減-

損害保険加入者に対して、災害前後に適したメッセージを送付することで、被害を最小限に収めることと顧客エンゲージメントの向上につなげています。

TWCの持つ気象データから被害地域を抽出し、該当地域の顧客に「〇時頃、△△地域にて雹が降る可能性があります。車をガレージに入れて備えましょう。」と言ったメッセージを送付することで、被害の削減を実現しています。また、年に複数回の顧客との接点を持つことにより、顧客継続率にもつなげています。

 その他:流通メーカー-マイクロモーメントでの訴求-

TWCとメーカーが提携し、各地の気象状況に応じた関連性の高い広告を配信することも実施しています。

同じメーカーの商品でも、気温や湿度などの気象条件によりマッチする商品が違うため、気象アプリと連動させることにより、顧客の地域の気象に合わせて自社商品でマッチする商品の広告を表示しています。それにより、メディア・エンゲージメント・売上の増加につながっています。 現在、日々膨大な量の気象データが蓄積されています。その豊富なデータを分析・学習することで、予測精度の向上や提供データの幅が広がっていきます。さらに販売データや人々の行動データも掛け合わせていくことで、日々データが進化していきます。

 日々進化するデータを活用していくことで、貴社のビジネスに大きく貢献してくれる可能性があるのが気象データです。

自分たちが活用するならどのようなことができるのか、気象データを活用したいということであれば、ぜひ一度お気軽にお問い合わせいただければと思います。

次号では、株式会社大広さまの講演内容についてお届けいたします。ぜひお楽しみに!