気象予報士テンキューラー 気象データ活用の広がりを目指して


今年はなんとなく季節の進みが早い気がしませんか?東京の桜は3月中に見ごろが過ぎ、4月には気温が25度以上の夏日が訪れました。大型連休は半袖で過ごし、新緑から深緑の季節を楽しみました。日に日に気温が高くなると思いきや、急に寒さが戻ることもあるのが、季節の歩みというものです。そんな時にはTNQLが大活躍。気温の変化に応じて、最適な服装を教えてくれます。毎日頼りにしているTNQL。誕生から1周年になりますね♪ この1年、TNQLと一緒に季節を歩ませていただいたことを、本当にうれしく思います。気象データが「天気予報」としてだけでなく、TNQLのように例えば「あなたのための今日のファッション」を教えてくれる仕組みの一つの「要素」として使っていただけることを、多くの方々に知っていただくことができた1年でした。「気象データ×〇〇」を、今後はファッションから次の分野にも広げていきたいと考えています。

例えば、飲食の分野。春先に思いのほか暑くなって、コンビニで思わず冷やし中華に手を伸ばしたお話は、前号のウェザーブログでご紹介させていただきました。そういえば私の祖母は戦後、中華料理屋を営んでいたそうで、どのお店よりも早く冷やし中華を始めては大盛況だったと、母から聞かされました。詳細な天気予報もない時代に、どのように先手を打っていたのか祖母に聞いておくべきでした。(笑)

現代では、思いのほか暑くなることは、おおむね1週間前にはだいたい予想ができます。仕入れや販売の計画を立てたり見直したりして、お客さんが「食べたい」と思う時に提供できるよう、気象データを活用していただきたいと考えています。かといって、飲食業を営む皆様が、天気予報ばかり気にしているわけにもいきません。そこで、気象データにできる第一歩は、気象に変化が起きそうなことが分かった段階で「アラート」を出してあげることです。そのアラートを出す気象条件をあらかじめお客様ごとに決めておきます。例えば、4月に気温が25度以上になる予想が出たら、自動的に「冷やし中華準備アラート」を配信するなど。

では、冷やし中華は本当に25度以上で急激に売れるようになるのかというと、それは検証してみないとわかりません。地域によってまたは立地条件によって、冷やし中華が急激に売れる気温は異なるかもしれません。それでは、過去に冷やし中華が急激に売れた日の気象データを調べてみてはどうでしょうか。何年か分のデータを分析してみたら、過去に冷やし中華が急激に売れた時の気温がある程度見えてくるかもしれません。

戦後間もないころに中華料理店を営んでいた祖母がどんなデータベースを持っていたのか、今では知る由もありませんが、最近では、店舗ごとのPOSデータベースはかなり存在していると思われます。その宝物を、気象過去データを使って分析してみたら、冷やし中華だけではなく、さまざまな商品ごとの法則が見つかるかもしれません。