桜の開花が史上最早となった理由。近い将来、桜前線はどうなる?

桜前線とは一般的に、日本の南から終着地点である北海道に向かって北上します。しかしながら2020年は、本州を中心に桜前線が南下するように進む傾向が出ています。

今年の3月14日には、東京で全国トップとなる桜の開花を観測。
平年より12日、昨年より7日早い開花となり、観測史上における最早日を塗り替えました。
開花が早まった関東では桜の見頃を迎える中、東・西日本は今もなお桜前線が加速しています。

山陰でも25日は福井、26日は金沢で、史上最も早い開花宣言が行われました。
この先は東北でも、記録的に早い開花が予想されていますが、九州南部は暖冬の影響を受けるハメに。
特に鹿児島の開花は、平年より1週間ぐらい遅くなりそうです。

では、今年の桜前線が示す、こうした異変は、何が理由となっているのでしょうか?

┃暖冬が桜の開花日を二分化

気象庁の発表によると、この冬(2019年12月~2020年2月)は全国的に気温がかなり高く、東・西日本では最も高い記録を更新。
寒気の流入が抑えられため、冬の降雪量はかなり少なく、北陸以北の日本海側では記録的な少雪となりました。

一方、桜の花芽は気温の高い7~8月に作られたのち、秋の気温の低下に伴って休眠に入ります。
いったん休眠に入った花芽は、冬季に一定期間低温にさらされることで目を覚まし(休眠打破)、春の暖かさを受けて開花に至ります。
それが今年は暖冬傾向のために、休眠打破の時期が平年より1週間前後遅くなった見通しです。
特に九州南部では目覚めの時期が2週間以上も遅く、開花を足踏みさせていると考えられます。

ただそのほかの地域では、度々の寒気の南下によって、休眠打破が遅いながらもしっかり行われた可能性があります。
3月以降も全国的な高温傾向に支えられ、桜のつぼみは順調に生長。
記録的に早い開花を迎えています。

このように記録的な暖冬下では、温暖な地域での休眠打破がうまくいかず、開花日が二極化することがあります。
また、地球温暖化やヒートアイランド現象などの影響も加わり、東京では年々、桜の開花時期が早まっているのが特徴です。

┃桜の開花時期は今後どうなる?

ソメイヨシノの開花は年ごとに変動しながらも、早まっていることが分かります。
東京を例に挙げると、桜開花の平年日は3月26日です。
過去最も遅い開花は1984年の4月11日で、最早日は今年の3月14日。
実に、1カ月近くもの隔たりがあります。

東京では1990年代を境に、4月になってから桜の開花を観測することはなくなりました。
2000年以降は、3月20日前後に開花することが多く、遅くとも3月25日頃にはほとんどの年で開花日を迎えています。
これらは冬が短く、春の訪れが早いことが主な原因と考えられます。
近い未来では、3月中旬頃の開花が通例になっていくのかもしれません。

また、この先も温暖化や都市化が進むと、桜前線が南北逆転しやすくなることが予想されています。
東北や北陸では開花がさらに早まる一方、九州などの温暖な地方では休眠打破が上手くいかなくなるためです。

桜が開花しても満開までに日数がかかったり、開花そのものが起こらなかったりする現象が、日本のどの地域にも現れる可能性があります。
春の様相が時代とともに色あせることのないよう、季節には適度なメリハリがあることを望みたいものです。

<参照URL>
気象庁「2020年のさくらの開花状況
気象庁「日本の季節の天候
気象庁「さくらの開花日

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